アレルギー対応とアレルゲンフリーの違い|食物アレルギー用語一覧
この記事でわかること
- 食物アレルギー関係用語の意味
- 食物アレルギー関係の用語は「制度で定められた用語」と「メーカーが独自に使用している用語」の2種類
- アレルギー表示・○○不使用・アレルゲン除去食品など、制度で定められている用語の意味
- アレルゲンフリー・アレルギー対応・低アレルゲンなど、メーカーが独自に使用している用語の意味
- 実は食物アレルギーに関係しない紛らわしい用語(無添加)
「アレルギー対応」「アレルゲンフリー」「○○不使用」「無添加」「グルテンフリー」。アレルギー対応食品を探していると、パッケージにはさまざまな言葉が並んでいます。それぞれ意味が違いますし、どこまで参考にしてよいかも異なります。
この記事では、食物アレルギーに関係する用語の意味を、行政や学会などの資料をもとに深掘りして詳しく解説します。
はじめに:本記事は食物アレルギーに関係する用語の意味を整理したもので、医療上の助言ではありません。また、商品ごとの表示は製造ロットやリニューアルによって変わります。購入の前に、必ず食品ラベルなどに記載された最新の食物アレルギー表示をご確認ください。制度などにかかわる出典は、関連する章の末尾に示します。詳しくは「免責事項」をご覧ください。
1. 食物アレルギー関係用語一覧
食物アレルギーに関係する用語を一覧にまとめます。どこまで参考にしてよいかの判断に迷ったときの確認にも活用してください。
※各用語の意味は、次の章から一つずつ詳しく解説します。
| 用語 | 制度や定義 | 関係ジャンル | この表示で言い切れること/言い切れないこと |
|---|---|---|---|
| アレルギー表示(特定原材料の表示) | 食品表示基準 | 食物アレルギー | 原材料に使用されているアレルゲン。 特定原材料9品目の表示は義務だが、特定原材料に準ずるもの20品目は任意。 原材料に使用されていないだけで、コンタミによる混入の可能性はゼロではない。 |
| ○○不使用(アレルゲン) | 食品表示基準(任意表示) | 食物アレルギー | 任意の強調表示で、そのアレルゲンを原材料に使用していないという意味。 原材料に使用されていないだけで、コンタミによる混入の可能性はゼロではない。 |
| アレルゲン除去食品 | 特別用途食品 | 食物アレルギー | 消費者庁が製品ごとに許可した病者用食品。 市販の「低アレルゲン」表示とは別のもの。 |
| アレルゲンフリー・アレルギー対応・低アレルゲン | なし | 食物アレルギー | メーカーが独自に使用している言葉。 特定原材料など29品目すべてが対象という意味ではなく、対象品目は商品ごとに違う。 |
| 無添加・○○不使用(食品添加物) | 食品添加物の不使用表示に関するガイドライン | 食品添加物 | その添加物を使用していないという意味であり、アレルゲン不使用を意味するものではない。 |
| グルテンフリー | なし | グルテン | メーカーが独自に使用している言葉。 日本では統一基準がない(海外では基準がある)。 |
| ノングルテン米粉 | ノングルテン米粉の製造工程管理JAS | グルテン | 農林水産省のJAS規格(グルテン1ppm以下で工程管理)。 |
2. 食物アレルギー関係用語は2種類に分けて考える
結論:食物アレルギー関係の用語は、制度で定められた用語と、メーカーが独自に使用している用語の2種類に分けられます。どの用語も「安全」を約束するものではないため、最後は一括表示(原材料名)で確かめます。
「制度で定められた用語」は、食品表示基準などの法令や、公的な許可制のなかで位置づけが定められている用語です。統一されたルールがあるため、何を意味するかがはっきりしています。
もう一方の「メーカーが独自に使用している用語」は、メーカーが任意に使っている用語です。統一されたルールがないため、同じ用語でも意味する内容や範囲が商品ごとに変わります。
そして、どちら側の用語が書かれていても共通する鉄則が一つあります。「卵不使用」のような表示があっても、それは「卵を原材料として使っていない」という意味で、コンタミ(意図しない混入)がゼロという意味ではありません。
また、アレルギー表示に「アーモンド」の記載がなくても、特定原材料に準ずるものに属する「アーモンド」は表示義務の対象ではないため、原材料として使用されているが表示されていないだけかもしれません。
よって、どんな用語が書かれていても、最後は一括表示(原材料名)やコンタミの注意喚起表示を自分の目で確かめる。これが、用語の種類を問わない共通の鉄則です。表示の読み方は『食品表示でアレルギー物質を見落とさない|紛らわしい表記の読み方』で解説しています。
3. 制度で定められた用語
結論:ここで挙げる用語は、食品表示基準や公的な許可制のなかで位置づけが定められています。統一されたルールがあるぶん、何を意味するかがはっきりしていますが、それでも「表示が無い=混入ゼロ」ではない点は共通です。
アレルギー表示(特定原材料の表示)
食物アレルギー表示制度の核です。容器包装された加工食品では、特定原材料(義務9品目)を含む場合に表示が義務づけられ、特定原材料に準ずるもの(推奨20品目)は表示が勧められています(任意)。
義務9品目と推奨20品目をあわせて29品目です。
- 特定原材料(9品目):卵・乳・小麦・くるみ・カシューナッツ・落花生(ピーナッツ)・えび・かに・そば
- 特定原材料に準ずるもの(20品目):アーモンド・あわび・いか・いくら・オレンジ・キウイフルーツ・牛肉・ごま・さけ・さば・大豆・鶏肉・バナナ・ピスタチオ・豚肉・マカダミアナッツ・もも・やまいも・りんご・ゼラチン
アレルギー表示の制度があることで、特定原材料9品目については「使われていれば必ず表示される」と考えられます。
ただし、特定原材料に準ずるもの20品目は表示されていないことがあり、また、コンタミ(意図しない混入)の可能性がゼロであるという意味でもありません。
アレルギー表示の読み方は『食品表示でアレルギー物質を見落とさない|紛らわしい表記の読み方』で解説しています。
「○○不使用」(アレルゲン)
「卵不使用」「乳不使用」のように、特定のアレルゲンを使っていないことを示す表示です。これは義務ではなく、メーカーが製造記録などで使用の有無を確認したうえで付ける、任意の強調表示です。
表示方法については、消費者庁のハンドブックにルールがあります。
ただし、「使用していない」と書かれていても、それは「含んでいない」ことまでを意味するわけではありません。コンタミ(意図しない混入)まではゼロと言い切れない点に注意が必要です。
この「不使用」の読み方は『「○○不使用」表示は安全?実は「含んでいない」とは限らない』で詳しく解説しています。
なお、同じ「不使用」でも「無添加(添加物不使用)」は別の話で、混同しやすいため後述の5. 「無添加」は食物アレルギー関係の用語ではないで解説します。
アレルゲン除去食品
医師にアレルゲンの摂取制限を指示された人が、医師や管理栄養士の指導に沿って使う「病者用食品」です。これは、消費者庁が定める「特別用途食品」の一つです。
健康増進法にもとづき、卵や乳などのアレルゲンを不使用または除去した食品について、消費者庁が製品ごとに審査し、消費者庁長官が許可します。許可を受けた商品には、消費者庁の許可マークが表示されます。
市販商品のパッケージで見かける「低アレルゲン」(4. メーカーが独自に使用している用語で解説)とは違い、こちらは公的な許可を受けた言葉です。
ただし対象となるアレルゲンは製品ごとに決まっているため、自分が避けたいアレルゲンが対象かは表示で確認します。また、除去したアレルゲンが検出限界以下であることが求められる一方、たくさん食べれば病気が治るというものではありません。
ノングルテン米粉
ノングルテン米粉は、グルテンの混入を抑えて工程を管理した米粉です。グルテンは小麦などに含まれるタンパク質で、主にセリアック病などへの対応で問題になります。
日本では、農林水産省が「ノングルテン米粉」(グルテン1ppm以下の工程管理)というJAS規格を定めています。次章で説明する「グルテンフリー」と違い、日本の公的な規格にもとづく言葉です。
出典:消費者庁「食品表示基準について(別添 アレルゲンを含む食品に関する表示)」、消費者庁「加工食品の食物アレルギー表示ハンドブック」、消費者庁「アレルゲン除去食品ってなに?」(特別用途食品)、農林水産省「ノングルテン米粉の製造工程管理JAS」
4. メーカーが独自に使用している用語
結論:ここで挙げる用語には統一されたルールがありません。違法という意味ではありませんが、言葉だけで安全を判断せず、必ず一括表示(原材料名)やコンタミの注意喚起表示で確かめます。
アレルゲンフリー・アレルギーフリー・ノンアレルギー
「○○フリー」「ノンアレルギー」といった言葉は、食品表示基準やそのQ&A、消費者庁のハンドブックのいずれでも定義されていないため、メーカーが独自に使用している言葉です。
「フリー」と書かれていても、特定原材料など29品目すべてを使っていないという意味ではないかもしれませんし、何がフリーなのかは商品ごとに異なります。
当サイトも「アレルゲンフリー食品を一覧から探せるサイト」と掲げていますが、これも看板として独自に使用している言葉であり、「食物アレルギーの原因となり得るアレルゲンを全く含んでいない食品」という意味ではありません。
アレルギー対応(食品)
メーカーが「特定のアレルゲンに配慮した」という意味で独自に使う言葉です。何に、どこまで対応しているかは商品ごとに違い、統一の基準はありません。
「アレルギー対応」とあっても、自分が避けたいアレルゲンに対応しているとは限りません。アレルギー表示などだけで判断できなければ、メーカー(お客様相談窓口)に確認するのが確実です。
メーカーへの問い合わせ方や、買う場所ごとの確認のコツは『アレルギー対応食品はどこで買う?実店舗と通販の違いと使い分け』で解説しています。
低アレルゲン
市販のパッケージにある「低アレルゲン」は任意の表示で、統一されたルールは確認できませんでした。また、3. 制度で定められた用語で解説した「アレルゲン除去食品」とは別のものです。
言葉は似ていますが、消費者庁の許可を受けているかどうかが違います。
なお、学会などが使う「低アレルゲン化」は、加熱や発酵などによってアレルゲンとなるタンパク質の性質が変化し、症状が出にくくなる現象を指す言葉であり、アレルゲンがゼロになるという意味ではありません。
低アレルゲンという言葉に惑わされず、食べられるかどうかは、必ず主治医の指導に従ってください。
グルテンフリー
グルテンフリーは、グルテン(小麦などに含まれるタンパク質)を避ける、または減らした食品を指す言葉です。
ただし日本には「グルテンフリー」の公的な定義がなく、海外ではCodex(国際規格)やアメリカ、EUがグルテン20ppm以下といった基準を設けています。日本で公的な規格があるのは、前章の「ノングルテン米粉」(米粉のJAS規格)のほうです。
注意したいのは、「グルテンフリー=小麦アレルギーでも食べられる」ではないことです。グルテンフリーはグルテンの量に着目した言葉で、食物アレルギーの原因となる小麦の除去とは考え方が異なります。
この違いは『グルテンフリーと小麦不使用の違い|小麦アレルギーでも安全?』で詳しく解説しています。
出典:消費者庁「食品表示基準Q&A(別添 アレルゲンを含む食品に関する表示)」、日本アレルギー学会「アレルギーポータル(食物アレルギー)」、日本小児アレルギー学会「食物アレルギー診療ガイドライン2021」第12章
5. 「無添加」は食物アレルギー関係の用語ではない
結論:「無添加」や、添加物の「○○不使用」は、保存料や着色料などの食品添加物についての言葉です。無添加でもアレルゲンが含まれていることはあるため、食物アレルギーには関係しない用語として捉えます。
「無添加」は、アレルゲンではなく食品添加物(保存料・着色料・甘味料など)を使っていないことを指す用語です。「不使用」という共通の言葉づかいから、アレルゲンの「○○不使用」と混同されがちですが、対象となる成分がそもそも違います。
食品添加物の「無添加」「不使用」表示については、消費者庁が「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」(2022年3月)で、誤解を招きやすい表示の考え方を整理しています。
これについて、「2024年に無添加表示が義務化・禁止された」といった説明を見かけることがありますが、正確ではありません。このガイドラインに強制力はなく、2024年3月末を目安にメーカーへ表示の見直しが求められた、というのが実際のところです。
いずれにしても、「無添加」は添加物についての言葉であって、その食品がアレルゲンを含まないことを示すものではありません。「無添加だからアレルギーがあっても安心」とは言えない、という点を押さえておきましょう。
出典:消費者庁「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」(令和4年3月)